【クリーニングのクレーム】洗濯後セーターに穴があった場合
クリーニングに出したらセーターに小さな穴が開いている。「クリーニングに出す前はこんな穴は無かった」「絶対になかった」とクレームが発生しました。
このセーターはカシミア100%で大事にしている服。弁償して欲しい!お客さんはそう強く主張。この場合はクリーニング店はどのように対応するのでしょうか?
クレーム事例を説明する前に…
大切なので少し説明させてください。クリーニング業界はクレームが多い業種です。これはひとえにクリーニング店が悪いという意味ではなく、お客様の衣類を預かってキレイにするという過程の中において避けられない宿命なのかもしれません。
<クリーニングクレームの3つの原因>
①クリーニング店の過失
②お客様の過剰欲求、勘違い、知識不足
③悪意あるクレーム、クレーマー
クリーニングのクレームには必ずこの3つが交錯します。
もし今、クリーニングのクレームで憤っている方が目にして、この②と③に「客を疑うのか?」と不快に感じる方もあるかもしれませんが、事実としてクリーニング店に過失なきクレームは全体の30~60%ほどの率で発生しています。
その反面、クレームに対して真摯に向き合わない店も事実あるようです。向き合わないのではなく、対処の仕方が分からず困り、ムダに時間が過ぎているのかもしれません。
<情報の提供者について>
私は前職でクリーニング会社で責任者をしていました。
その会社は店舗数は30~50店の規模です。社名や地域は前職に迷惑がかかるので公表しませんが、クリーニングにおけるクレームは数多く経験しました。
この経験を、お客様である消費者の、またクリーニング店でクレーム担当をしている方の参考になればと、私の経験と個人的主観を紹介しています。ここで紹介する内容や処置が正しいかは分かりません。ただ少なくとも私が体験してきた事例になります。失敗も含め参考になれば幸いです。
(サイト内でクレーム事例は徐々に増やしていきます)
尚、当サイトで紹介している宅配クリーニング店は、私の前職とは関わりは御座いません。「私が今利用するならこの店」というのをシェアしているまでです。どうぞ、ご理解ください。
【クレーム事例】セーターの小さな穴
クリーニングに出したセーターに小さな穴が開いているという事例はクリーニングのクレームの中ではよくある一つです。
お客さん側は「まだ買ったばかり」「1度しか着ていない」「弁償して」「修理は納得できない」と主張されるのもよくある事。
クリーニング店が原因で穴が開いているなら、その気持ちも当然分かります。
セーターの穴の原因は何か?
クリーニング店側としては、セーターの穴の原因をハッキリさせたいものです。それから対処をどうするかです。考えられる穴の原因は…
洗浄中の引っ掛け
虫食いの穴
虫食いが原因で糸が細くなっていた
洗う前から穴があった
染み抜きのミスで穴が開いた
一般的には、以上の事が考えられます。
もし繊維の状態が見れる電子顕微鏡(マイクロスコープ)があると繊維の断面を確認できます。虫食いの場合、付加が加わって切れた場合、繊維の断面が異なりますので、これは予め参考資料を作っておくのがオススメです。
もし、クリーニング店の方でマイクロスコープを持っていない方は、絶対に購入しておくべきでしょう。安価なモノもありますが、値段を重視して買うと失敗しますので気を付けて下さい。
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セーターの穴に対する具体的な対処は…
これは私が現役時代にやっていた対処法になります。
マイクロスコープで虫食いの穴、虫食いが原因の場合で糸が細くなっていたことが原因と分かった場合は、その写真と共にお客様に状況を説明し、納得いただいたら修理をしてお返しました。この場合の修理代は基本的に無料サービスに。
この処置に納得頂けない場合は「生活消費者センター」に相談されることを推薦しました。
洗浄中の引っ掛けが原因の場合、染み抜きのミスにおいては、その穴の大きさや状況にもよりますが、修理で納得いただける場合は修理をする。修理をした跡が第三者的に見て目に入ると言う場合は、お客様と相談の上、クリーニング賠償基準に基づいた弁償を検討しました。
こちらも納得いただけない場合は、消費者センターに相談されることを推薦しました。
※基本的にクリーニング店で全額弁償は簡単にはされないと思われます。第三者機関の判断を参考にし判断されるのが一般的。紛失などの場合は別ですが…。
仮に「洗う前から穴があった」と明らかな場合、これはお客様も納得されないパターンですね。後の祭りといった状況です。この場合は円満解決は難しいですが、洗浄前の検品ミスを認め、セーターの穴は自社責任でない事をハッキリ伝えます。
その理解を頂いた場合は、半額を自社負担で修理、金額が小さい場合は自社で全額負担のケースが多かったです。
クレーム処理の大切なポイント
一応、穴が発覚してから以上の判断まで、基本的に1日以内にすることを社内ルールにしていました。クレームは対処が早ければ早いほど、理解を頂けやすいからです。
納得頂けず、長期化する場合もありますが、クレームに対する判断は発覚から1時間以内が理想、対処は半日以内、遅くとも翌日以内を厳守にするのが大切です。
逆に、自分がお客さんの立場なら、お店の対応が遅いとそれだけでイライラし、怒りが倍そうしますよね。同じです。スグに解決できない状況であればあるほど、出来るだけ小まめに連絡を取りましょう。具体的な対処の方向性は翌日までに確定させるのが重要です。
お客さんの立場で…
クリーニング店の出した処置に納得出来れば良いですが、出来ない場合が多いと思います。その理由は全額弁償などは基本的に無いからです。
全額弁償は紛失の場合以外、基本的にはあり得ないでしょう。5万円のジャケットも製造日から日数と共に価値は下がります。5万円で買った=5万円の価値ではありません。
お気に入りのジャケット、プレゼントしてもらった服、色々と思い入れはあると思いますが、クリーニングでの事故が生じた場合、100%満足の解決は難しいです。
消費者センターに相談しても、あまり良い結果にならないのが実際の所ですが、第三者目線で見てもらうのは大切かもしれません。
しかし、悲観する事ばかりではなく、クリーニング店によっては素晴らしい対応をみせてくれる店も多いです。事故が起きにくい配慮、丁寧な対応、親身な対応の店も数多くあります。
だからこそ、信頼できるクリーニング店を選ぶのが大事なのです。
クリーニング店の選び方を知りたい方はこちらを参考に!
お客さん目線でかいたクレーム事例
その他、クリーニングクレームに関しては、私が実際にお客としてクリーニングにYシャツを出した時に起きた「赤茶けた変色の事例」も紹介しています。
【重要ポイント】
クリーニング店を選ぶ時の参考として、公式サイトに「賠償基準」が記載されている確認しておくのも大切です。消費者が激しく怒れば動く、そうでないと解決まで時間がかかる…、それではいけません。きちんと基準を設けているクリーニング店の利用が安心です。